研究開発

TSKでは、鉄触媒を用いた様々な機能性分子の合成を行っています。

有機電子材料とは

有機電子材料(OLED)とは、エレクトロルミネッセンス現象を利用した、発光素子電流に反応して可視光を発する発光ダイオードです。


数100nmの有機EL膜の両側を電極で挟んだ構造をしており、電極から有機EL膜に注入された電子と正孔が有機EL膜内を移動して発光層内で再結合することで、発光層の有機分子が発光します。

OLEDディスプレイの利点

OLEDは主にデジタルディスプレイの材料として利用されており、従来型の液晶を用いたディスプレイと比較して以下のような利点があります。

TSKのOLED

TSKでは独自の合成技術をもとに様々なOLED材料を合成しています。特に、京都大学中村研究室で開発された鉄触媒を用いた、他にはない新規材料・新規化合物の合成を得意としています。
さらに、国内外の企業との強固なネットワークから、柔軟できめ細やかな対応が可能です。

京都大学化学研究所中村研究室での研究成果

京都大学化学研究所の中村研究室では、鉄触媒を用いた分子変換反応の研究を行っています。
特に、独自のリン配位子であるSciOPPは鉄触媒クロスカップリング反応において優れた結果を示しており、この研究成果は2017年度の日本化学会学術賞を受賞しています。国際的にもこれまでの鉄触媒反応の研究は高く評価されており、関連論文の引用数は2000を超えています。

鉄触媒反応は、資源豊富な鉄を使用することから、合成のコスト削減に貢献することができます。一例として、芳香族ハロゲン化物のアミノ化反応において、パラジウム触媒を使用した場合に比べ、触媒単体ではコストを1/16以下に抑えることが可能であり、必要試薬全体の価格の点でも優位であることが見出されています。

*J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 10674-10676
*京都大学、中村正治, 畠山琢次, 曽我真一、アリールアミン類の製造方法、特開2012-121880 

2020年には、鉄触媒反応によって合成したOLED材料を用いて、青色OLEDデバイスの作成と評価を行いました。その結果、青色発光が起こり、さらに従来材料に対して低電圧で駆動させることが可能であることを確認しています。